2022/05/05 10:00
YUKI SHIMANE 2022 Autmun/Winter
" entwined "
一人っ子ゆえか、幼少期からひとり遊びが得意でした。
読書は周りの声が聞こえなくなるほどに集中してしまうし、じっと何時間もテレビを見ることや、絵を描くこと、人形遊びや折り紙、
もくもくと手を動かしづづけるようなあそび、ひとりで完結する世界に入り浸っていたように思います。
頭の中で妄想と空想とそこから派生する全然関係ないことが、縦横無尽にひたすら広がり続けて、
ひとり遊びは容易に自分の世界を作り出し、意識が内へ向かってばかりいました。
一人でなにかに没入することを好む性分が、結果的に ”ニット” という仕事の道につながったのかも、と思います。
ニットのすきなところは、線が面になるところです。
糸一本が 規則的に同じ絡まり方を途方もなく続けていくと、面積があるものに変化して、身体を通して立体となる。
分かりやすくぐちゃぐちゃになったものだけが『絡まっている状態』ではないと、線(糸)をもくもくと動かし面にしていく過程で思い知るのです。
ずっと大好きな映画がいくつかあって、この製作期間には『恋愛映画のすすめ』と『落下の王国』のことをよく思い出していました。
どちらも劇中、主人公の空想や夢が現実と同軸で描かれます。姫や騎士や王子や恋人たちがめちゃくちゃにしているのを見ると、
彼らはひとりで過ごしていた私の頭の中にもいたかもしれないと思わされました。
彼らに再度出会うような気持ちで、ノスタルジックでロマンチックで内向的で等身大なコレクションを作りました。
人生は一本の糸のように地続きで、出会ったすべてのことが時間をかけて絡み合ってまたそれをもくもくと現実に起こしていく、
その繰り返しの中、糸の毛足が表面で絡まり合えばまた質感を生み出すように、新しく繊細な"なにか"を見つけていくのだと思います。
*ブランドリリースより。